
定年をきっかけに、憧れの沖縄移住を計画。健康なうちは、温かい沖縄でのんびり過ごす生活が送れたとしても、いざ介護が必要となった時の暮らし方はそれとは違います。では移住後の終の棲家はどう考えるべき?
自分で生活できなくなったら子供を頼る?
定年後の沖縄移住生活は、「健康で自立した生活が送れる」ということが絶対条件になります。たとえ病気を抱えていたとしても、パートナーの介助などがあって生活していられるうちは良いのですが、認知症の症状が悪化したり、常に介助を必要とするほど身体的機能が落ちてしまってからは、やはり医療や介護のプロのサポートが必要になります。
特に、定年後の移住となれば、子どもたちと離れて沖縄へ移住するケースが多いのが実情。こうなると、万が一、パートナー以外の介助が必要となったとしても、子どもとは離れて暮らしているので、日々のサポートを子供にお願いするのはかなり難しくなります。
「自立した生活」と「子供たちのサポート」の選択
このような状況になった時には、もはや夫婦だけでは解決できない問題も出てきます。移住後にパートナーと死別したり、独身のまま沖縄移住した場合、自分が重篤な症状に陥った場合、その時々の判断をだれがするのかという問題が起こります。特に、生死にかかわるような重大な局面での決断には、血縁関係がある人がその役割を担うことになります。
そこで問題になるのが、子供への負担をどう考えるかという点です。子どもが現在住んでいる地域から沖縄に行き来する際の負担を減らすなら、沖縄での移住生活を切り上げ、子どもたちの家の近くに終の棲家を見つけ直すことが考えられます。
もしも、子どもたちのサポートではなく、最後まで沖縄での生活を全うしたいのであれば、まずはその意志を子供や親族にしっかりと説明し、納得させることが重要です。その上で、医療や介護のサポートがしっかりと整った施設を事前に確保をし、重大な決断が必要となった時にはどのようにしてほしいのかをしっかりと法的な書面に残し、その内容を周囲でサポートする人が認知できているように手配しておくことが大切です。
有料老人ホームと特別養護老人ホームの違い
高齢者が介護サービスを受けながら暮らすことが出来る施設のなかでも、区別が分かりにくいのが、有料老人ホームと特別養護老人ホームの2つです。この2つは、「民間施設」と「公的施設」の違いに特徴があります。
一般の民間企業が運営する高齢者施設のことを「有料老人ホーム」といい、入所の条件や基準は各施設によって異なるため、自分の希望に合った施設を選ぶことが出来ますが、料金としては割高になります。
所得が低くても入所しやすい料金制度になっているのが、公的施設である「特別養護老人ホーム」なのですが、入所基準は厳しく、地域によっては入所希望者が多いため、入居までに時間がかかることもしばしばです。
特別養護老人ホームに入所するにはどんな条件がある?
公的施設である特別養護老人ホームでは、有料老人ホームとは違い、原則として入所要件を満たしていることが求められます。この時の入所要件ですが、「原則として年齢は65歳以上であること」と「要介護3以上であること」が挙げられます。この条件に満たない場合は、基本的に入所することが出来ません。
入居希望者が多数いる場合は、入所希望者の現在の状況を判断し、介護度が重かったり、経済的に在宅での介護が困難な人から、入所が優先される仕組みとなっています。
特別養護老人ホームに入所した時の1か月の費用相場は?
特別養護老人ホームは、公的施設ですから、料金は民間運営の有料老人ホームと比べると安く設定されており、介護度別に料金が設定されています。これらは、介護保険料としての自己負担となりますが、食費や部屋代、日常生活費などは別途加算されるシステムです。
部屋のタイプは従来型とユニット型に分かれており、従来型の場合は月7~10万円、ユニット型の場合は10~15万円が1カ月当たりの料金の相場です。
有料老人ホームに入所するにはどんな条件がある?
民間施設である有料老人ホームでは、公的施設である特別養護老人ホームとは違い、各施設で入居条件が異なっているのが大きな特徴です。そのため、入居対象となる年齢も、「60歳以上」としている施設もあれば、「40歳以上の2号被保険者でも入居可能」という施設もあります。あくまでも、運営サイドがどのような基準をもって受け入れているのかがポイントになるので、希望の合う施設を見つけやすいという点が魅力になります。
収入制限がないのも、有料老人ホームの特徴の一つであり、支払いができるのであれば、入所できる施設の数も増えるということになります。ただし、将来、施設利用料の支払いが不可能となった場合は退去を命ぜられることもありますので、長期にわたってしっかりとした資金計画を立てることが必要になります。
有料老人ホームに入所した時の1か月の費用相場は?
有料老人ホームは、民間が運営する高齢者の介護施設ですから、基本的には入所一時金が必要です。入所一時金の一般的な相場は、300万円以上となっています。基本的な介護サービスと従来型の居住スペースであれば、月々に15~20万円が1カ月当たりの利用料金の相場です。
もちろん、希望するサービスや入居条件が多いほど、入所一時金や1カ月当たりの利用料金は高くなります。
沖縄県の有料老人ホームの料金相場はどれくらい?
沖縄での生活を最後まで続けていきたいと考えているのであれば、今のうちから、利用する上で必要となる料金の相場について知っておきたいところです。
全国的な料金相場については、前述の通りなのですが、これと比べると沖縄県の料金相場は比較的安く設定されています。沖縄県の場合、入居時に利用料金とは別に支払う必要がある入居一時金は、100万円以下の施設が最も多いです。料金の相場としては、約60万円となっています。
さらに、1カ月当たりの利用料金としては、10万円台が最も多く、10~15万円の範囲が相場です。ただし、追加で介護サービスを受けたい場合や個室を希望する場合には、オプションサービスとなるため、一般的な沖縄の料金相場よりも高くなります。
沖縄県の特別養護老人ホームの競争率は?
低所得世帯であっても利用しやすい特別養護老人ホームは、沖縄県内でも多くの希望者が、現在も待機者となっています。どの施設も多くの待機者がいるのが現状で、1施設当たり平均200名前後の待機者がいるといわれています。
ちなみに、県内で最も待機者が多いのは、那覇市にある特別養護老人ホームおもと園。こちらでは、常時700名以上の待機者がいるといわれています。将来的に特別養護老人ホームへの入所を検討するのであれば、希望する施設だけでなく、待機者数もチェックしておく必要があります。